杉本先生の黒板

元中高一貫校講師によるいろいろ

数学の勉強法

ここでは、「基礎を何度も練習しよう」みたいな、よくある勉強法ではなく、僕の教師としての経験を踏まえて、(おそらく)新しい視点から、数学の勉強法を考えてみたいと思います。

(説教がましい文章でごめんなさい)

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学問するということ

まず、何か学問を学ぶときには、当たり前ですが、言葉を使って学びますよね。

基本的には日本語です。ところがそれが英語だったり、カタカナ語ばっかりだったりすると、何書いてあるのかわからないですよね。

数学の教科書も日本語がたくさん書いてありますが、それ以外に数式が書かれています。この数式というのは新しい言語だと思った方が良いのです。

英語を日本語に訳して読むのと同じように、数式も日本語で捉えて考える必要があります。もちろん学ぶのに使用する言語は自分が使い慣れていなければなりません。

みなさんは、数学の教科書をスラスラ読めますか?

僕がたくさんの生徒を見てきた中では、正しく読めていない生徒が多いです。

そもそも数学の本を音読したことはありますか?

 

声に出すことの重要性

日本語と同じように、数学の言葉(数式)も声に出してほしいのです。声に出すことによって自分の中に染み付いて、先生の言葉もスッと入ってくるようになります。

これは実体験によることです。「教えることが最高の勉強法である」ということにも関連してくるのですが、僕が大学生時代から、人に教えるようになって、今一度教科書に立ち返って勉強をして、そして生徒に説明しているうちに、さらに深く数学が身につきました。それまではすぐに忘れてしまっていたようなことも、忘れなくなりました。

もし、伸び悩んでいる教科があれば、是非声に出して勉強してみてください。

 

 

計算ミスは自分で見つけろ

数学力の向上に欠かせないのは、言うまでもなく計算力です。わかっても計算力がないと得点できないし、授業で先生の話が理解できなくても計算力があればなんとかついていけます。文章題や応用、発展問題に入る前の計算練習は、腱鞘炎になるくらいやらないといけないと思っています。(生徒の得意不得意にもよりますが)

ただ、いくら練習しても人間ですから、計算ミスはあります。誰だって、数学の先生だって計算ミスをします。

できる人とそうでない人の差は、犯した自分のミスに気づけるかどうかです。

おそらくみなさんも、授業に先生が黒板で計算ミスをして、「あれ、どこかで間違えたな」とかボソボソ言いながらミスを探す姿を見たことがあると思います。

たいてい自分で見つけるか、あるいはよくできる生徒が指摘するパターンもあるかと思います。いづれにせよ、数学のできる人間はミスチェックがうまいです。

 

計算ミスをしてしまったときは、どこで間違えたのか、どこまではできていたのか、よく観察して、自分でミスを見つけてください。そしてこれが何より計算力向上につながります。

計算ミスは計算力アップのチャンス!

 

 

数学は暗記?

数学が暗記科目かどうかということについては度々議論が起こります。

僕の意見としては、暗記の部分もあるし、そうでない部分もあって、1:9か2:8くらいの割合かなと思います。定義と呼ばれる部分については覚えるしかないです。

教科書の太字になっている言葉の意味だったり、sinθの定義だったり。それ以外は理解をした上で覚えます。「記憶」というふうに言った方が的確でしょうか。

数学では、○○の定理、△△の公式、などがたくさん出てきますが、これらはなぜそれが成り立つのか証明ができますし、わざわざ覚えなくても導くことができます。

僕が数学が割と得意だったのは、暗記する部分が少なく、定理や公式は使いたいときに導いていたからです。(暗記は苦手なので、社会とかは苦手でした)

試験が終わると生徒から「あの公式忘れちゃって解けませんでした」という声がよく聞こえますが、公式は覚えようとしてはいけないのです。覚えるように努力するのではなく、導けるように練習するのです。この方向性の違い、わかりますよね!

 

数学が苦手な人は、暗記すべきことを頑張って理解しようとしていたり、簡単に導ける定理や公式を暗記しようとしていたり、取り組み方の方向性を間違えてしまっていることが往々にしてあります。とってももったいない。

例えば、三角関数にはたくさんの公式が出てきますが、覚えるのは加法定理だけでいいんです。他の公式はすべて加法定理から導けます。

もう一度言います。

「暗記すべきこと」と、「理解した上で記憶すること」を区別せよ!

 

上記の中には、他の教科にも通用することもありますが、数学には数学の勉強法があります。基礎を繰り返す、じっくり考えるなどがよく言われますが、どっちも時間がかかりますよね。特に高校生は忙しいですから、できるだけ効率よく勉強する必要があります。今回紹介した勉強法を取り入れ、これまでとは違ったアプローチができたら、確固たる数学力が身につくはずです。

 

おわり